てまびより、はじめます。手間を楽しむ生き方を選んだ理由

「もっと効率よくできますよ」

職場でも、SNSでも、育児本でも、耳にタコができるほど言われてきた言葉だ。

40歳になった今も、その言葉は変わらず飛んでくる。時短レシピ、最速の練習法、最も合理的な子育て術。世の中には「もっと早く、もっとラクに」を目指すための情報があふれている。

でも、正直に言う。

私はその流れに、少し疲れた。

目次

手間をかけることが、豊かさだと気づいた日

ピアノを始めたのは35歳のときだった。

「大人になってから始めても上達しない」という常識は知っていた。それでも、子どもの頃にあきらめたピアノへの憧れが消えなかった。

毎日30分、時には1時間。仕事帰りに練習する。効率なんてものは最初からなかった。譜読みは遅い、指は動かない、同じところを何十回も弾く。

でも、その「何十回も弾く」という行為が、不思議と嫌いじゃなかった。

一小節をゆっくりと、丁寧に。同じパッセージを繰り返すうちに、少しずつ指が馴染んでいく感覚。うまくはなれないかもしれないけれど、このプロセスそのものが豊かだと思えた。

5年間続けた。残念ながら昨年、指の怪我で今は弾けない状態にある。それでも後悔はしていない。あの5年間は、確かに私の人生の一部になった。

キリマンジャロで学んだこと

山も同じだった。

キリマンジャロに登ったとき、現地のガイドが繰り返し言った言葉がある。

「Pole pole(ポレポレ)」

スワヒリ語で「ゆっくり、ゆっくり」という意味だ。標高5895メートルの山を登るために必要なのは、スピードではなくペース。焦ると高山病になる。ゆっくりと、一歩ずつ踏みしめることが、山頂への唯一の道だった。

効率とは無縁の登山。それでも、山頂から見た朝焼けは、これまでの人生で一番美しい景色だった。

娘がピアノを始めた

4歳の娘がピアノを始めた。

教室を探すのに、3ヶ月かかった。体験レッスンを何件も回り、先生の話をじっくり聞き、娘の反応を観察した。

「そんなに時間かけなくても」と言われることもある。確かに効率は悪い。でも、この手間こそが大事だと思っている。娘の最初の先生を、ちゃんと自分の目で選びたかった。

その手間は、きっと娘には見えない。でも、見えない手間が、見える豊かさになると信じている。

このブログについて

「てまびより」は、手間を楽しむ人のためのブログだ。

子どものピアノ教育、大人の習慣化、そして日々の暮らし。効率よりも丁寧さを選んだことで気づいたこと、失敗したこと、それでも続けていることを書いていく。

読んでくれるあなたが、「手間をかけることも悪くないな」と少し思ってもらえたら、それ以上のことはない。


てまびより 管理人・hajime

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次